リアル獄中記「ムショ活」

受刑者ブロガーJ。1993年生まれ、26歳。2019年2月に詐欺容疑で逮捕され、上野警察署から東京拘置所に移送された後、2020年2月に懲役の実刑判決を受け、現在福井刑務所に服役中。厳しい発信制限の中、娑婆に居る協力者の手を借り、獄中記ブログ「ムショ活」を毎日更新。

2/15(土曜)

f:id:j-realstory2019:20200222220427j:image

やぁ兄弟!昨日はバレンタイン、チョコはもらえたかい?ここ東拘ではなんと夕食の配当と一緒にチョコが配られたんだよ。しかもチロルチョコとかじゃなくてさ、不二家のちゃんとしたやつ。パッケージなんてハートに矢が刺さってる絵なんか書かれててさ、中のチョコもちゃんとハート型。本当にここはイベント事に協力的だよな。でもさぁ、全然嬉しくないんだよ。だってさ、普通は女の子から渡される物だろ?それを配食係の受刑者から渡されるんだぞ。想像してみてくれよ。ラブリーな絵が描かれたハート型のチョコを全身うっすいみどり色の服着た丸坊主から受け取る俺の姿を。なんかゾッとするだろ。全く、もらうこっちの身にもなって欲しいよ。2020年のバレンタインはなんともビターな思い出を作っちまったよ…。

今回は留置場での話だよな。結果的に留置では8ヶ月も過ごす事になるんだけどさ。当然初めはどれくらいになるのかなんて分かってないから、とにかく一日一日を消費していく感じだった。昨日も言ったけど、初めてじゃないし前回みたいにガキでもないからさ、担当さん(留置係の警察官)との付き合い方も、同じ房の人間との関わり方も、どうすれば生活しやすいかなんて事はバッチリ心得てるから、そこら辺は楽勝だったな。留置生活はさ、唯一場内に出れるのが取調べの時なのよ。つっても手錠ははめられたまんまだけどな。でもさ、俺はここで失敗しちゃうんだよ。取調べでさ、俺ずっと黙秘してたんだよ。したらさ、段々刑事も諦めちゃってさ、結局ほとんど呼ばれなくなっちゃって、1日中房の中で過ごすはめになっちゃったんだよ。もう少し喋る可能性を匂わすべきだったな。留置は訳の分からないルールが沢山あってさ、まず本は一日三冊までしか房に入れられないのよ。官本だろうが私本だろうが合わせて三冊まで。途中交換はナシ。ラジオもないから本読み終わっちゃったら寝るしかなくてさ、マンガとかなんか最悪で速攻で終わっちゃうからスゲー暇なんだよ。仕方ないから寝るんだけどさ、地べたに直だから肩とか腰とか痛くて痛くて。起きると毎回バキバキだよ。ある時パーソナルトレーナーがパクられて来た時は本当助かったよ。腰痛に効くストレッチと筋トレ教えてくれてさ、言う通りやると全く痛くなくなるんだよ。プロって本当スゲーよな。でもその人通勤中に絡まれて喧嘩でパクられただけだから二日で釈放されちゃってさ、それからはまた腰痛だよ。思い出しながらやったんだけどダメだったな。今は本差入れしてもらったおかげで全く痛みなくなったけどさ。柔軟って大事なんだな。房の中は物を何も置いておけなくてさ、暑くて靴下脱いだだけでも担当さんに渡さなきゃいけないのよ。のど乾いて水飲みたい時も、チリ紙も、ボールペンも便箋も全て使う時にお願いして終わったら出さなきゃいけなくてさ。それがスゲー面倒くさくてさ、担当も30人くらいを2人ずつ交代制で見てるからあんま頼みすぎると苛々しはじめて全然動いてくんないんだよ。嫌な奴のとかはわざとシカトしたりしてさ。でも!ここでキレちゃダメなんだよ。あくまで面倒かけてスイマセン。ってスタンスを崩しちゃダメでさ。俺は前回我慢できずブチギレちゃって担当と大喧嘩しちゃったんだよ。したらそれから明らかに嫌がらせされて生活しずらくなった経験あったからさ、今回はそれを完ぺきに活かしてやった。やっぱり皆ムカつくからキレちゃうんだけど、俺は心の中で(もっといけ!おい!キレ方よえーよ!)って煽りまくりながら静観してたよ。(笑)そんな自分を俯瞰して見てると面白くてさ。そもそも今回あんまり苛々はしなかったけどな。そう言う訳で担当の機嫌見ながら動いてたから気遣えると思われたんだろうな、スゲーひいきしてもらったよ。(笑)奴等も同じ人間なんだもんな。留置ってなんか長く居る奴が偉いみたいな風潮があってさ、大体長くても3.4ヵ月しか居なくて俺みたいに8ヶ月も居る奴なんてめったに居ないからさ、新人が入るとってなると担当が俺の所で「宜しくな!」って言ってきたりしてたよ。特に何する訳でもないんだけど俺も「任せて下さいください。」とか言ってさ!8ヶ月間しっかり留置場の秩序を保ってやったよ。(笑)だから担当とは仲良くなっちゃってさ、色んな話したな。タメの担当が二人いてさ、そいつらがまた面白くて。当番中は当然スマホなんかイジれないし、何もないとただ監視してるだけだから暇だつって、めちゃくちゃ話しかけてくんのよ。んで俺も暇だから話相手になってあげてたんだけど、この俺から見ても頭の悪さ全開でさ、コイツらが警察かよって思った。けどコイツらも職業が警察なだけで中身は俺と変わらない25才(当日)なんだなって思ったよ。出て来たら酒でも奢ってやるよ!とか言ってたぞ。(笑)アホだよなぁ。でもおかげで警察の裏話いっぱい聞けて面白かったけどな。不良の人とも普通に同じ房になったりもするんだよ。俺も一緒になってさ、普通はまず入ってくると飯配る係で掃除は入ったのが遅い順にトイレ、床、カベってなるんだけどさ、人見て忖度すんの面倒くさいから俺初めから移送されるまで、ずっと飯係やってトイレ掃除やってたんだよ。そしたらなんか気に入ってくれたみたいでさ、中でも相当良くしてもらったんだけど、その人が釈放されてから度々してくれてさ、今年の正月なんて「体に気をつけて!」って年賀状までくれたんだよ。ああいう人達ってさ、なんかマメって言うかそう言う温かい所あるよな。二度と会わないような俺に気遣ってくれてさ。その人は北関東の方の本部長さんで中々上の方の人なんだけどさ、俺にはずっと不良なんかなっちゃダメだぞ!って言ってたよ。相当苦労してきたんだろうな。てか、留置の時の事は色々とありすぎて書ききれないわ!(笑)そりゃそうだよな。8ヶ月間の出来事をたった数枚の便箋に書ける訳ないんだよな。今回は一旦ここまでにしよう。今夜一晩かけて頭の中整理するわ。外は随分と物騒なウィルスが暴れまくってるみたいだけど気をつけてくれよ。懲役なんかよりもはるかに重いからな。